ハシッコばっかりメにトマル。(仮)

フリーライター、キクタヒロシのブログです。新刊『昭和の怖い漫画 知られざる個性派怪奇マンガの世界』発売中です!

東京が幸せか富山が幸せか。

今日も今日とて本の整理中、というか今現在のその真っ只中なンですが、こンなン出てきちゃいまして、しまっちゃわないうちにと急ぎ足でご紹介するのがコチラ、

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富山県しあわせ勝負-21世紀へのシナリオ-新富山県民総合計画」(平成3年発行/富山県企画調整室)でございます♪

一時期、<マンガにすりゃ若者も読むじゃろう>という短絡的思考から県のPR誌をマンガ単行本にするのが流行致しまして、本書のその一冊だったりします。

ジャケを見ると一目瞭然に『美味しんぼなンですが、『美味んぼ』という言葉は監修者の紹介文にしか登場せず、というより

原作者は雁屋哲でなく浅野拓、作画は花咲アキラでなく毛内ヒロやす

 という辺りに著作権料やら原稿料やらをケチった感ありあり切り詰めた感がありますが、そもそもコレ自体税金やら補助金で作られてるンでしょうから、ソレが正解です。 

で、内容はと申しますと、当時、山岡さんらの所属する東西新聞で<水特集>を組もう、という話をしている最中、

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ソレを耳にしたフリーカメラマンの宮沢里子が

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故郷・富山の水を絶賛、その意見を受け入れ

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山岡さん&栗田さんコンビ(当時は結婚してません)は富山へと取材に旅立ちます。 

どーでもヨイですが、この毛内センセイ、そうとう絵がそっくりです。こーいう線が少ない絵って逆に真似るの難しそうな気もするンですが、やっぱプロはスゴイです!

話を戻します。

富山空港では里子の友達以上恋人未満な中村が出迎えに来ていましたが、富山賛美の過ぎる里子に、東京に憧れを抱きながら家業を継ぐために富山から離れられない中村はプチギレ、口論となります。 

ソコで対決大好き山岡さんは

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東京批判になりかねない危険な勝負を提案、里子は富山の良いトコロを、中村は中村が考える<思いっきり嫌な富山原文ママ>を紹介して周る事になります。

で、富山の良いトコで初っ端に紹介されるのが

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学校でパソコンを使いこなす小学生だったりしまして、ソレは富山ならではなンですか?という疑問が浮かぶのですが、その次も

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コンピュータ産業を積極的に取り入れている事なンかだったりしますので、その辺り先進性をアピールしようという富山県の思惑がダダ漏れですが、この本自体そーいう目的の手段として作製されておりますので問題ナシです♪

で、

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ソバ粉がウマイなど名産の紹介に入りまして、最後にスッカリ忘れていましたが、ヤットコサ富山の名水に話が及び、

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結局、自然が一番 

という結論に至りました。この辺り、最終的には素材の差で勝負が決する事の多い『美味しんぼ』テイストをキチッと受け継いでいるとも言えます。 

 

というか、東京が幸せか、富山が幸せか、のしあわせ勝負は結局ウヤムヤになり、その辺りは東京に対する配慮的なモノが感じられますが、ソレは兎も角、中村は富山の良さを実感、里子との仲もまとまりそうです♪というほのぼのエンディングも見事な『美味んぼ』テイスト。 

ちなみに中村の紹介した<思いっきり嫌な富山>な即否定&軽くスルーなンですが、コレ自体そーいう目的で制作された本ですので問題ナシ♪♪