ハシッコばっかりメにトマル。(仮)

フリーライター・キクタヒロシのブログです。初単行本『昭和のヤバいマンガ』発売中です。

大魔鯨

未だに書庫の整理中なのですが、物を見直してみて「う~ん、良いなぁ」と再確認したマンガの記事を少し。

f:id:buraburablue:20160305005420j:plain

川崎のぼる先生の『大魔鯨』。

昭和43年に朝日ソノラマより刊行された短篇集です。

朝日ソノラマのコミックス=「サンコミックス」(以下サンコミ)の初期ナンバーは背表紙のタイトルフォントが手書きで味わい深く、巻頭にカラーページが挟んであるなど装丁・造本ともにステキです。20年ぐらい前はサンコミックスの蒐集こそが“新書漫画コレクターの王道”とされていたのですが、それも納得の出来。さらに刊行作品のラインナップも粒ぞろいとくれば言う事無し、だったのでした。

 

中でも『大魔鯨』は本自体の風合いが良く、それだけでも保護しておきたい本なのですが、内容的にも特筆すべき点があります。

表題作でもある『大魔鯨』は梶原一騎の原作。『巨人の星』コンビでの作品なのですが、この単行本にしか収録されていないのです。

f:id:buraburablue:20160305005449j:plain

メルヴィルの『白鯨』を下敷きにしたと思われるこの物語、明治初頭のとある漁村を舞台に、出身により理不尽な差別を受ける兄弟を主人公におき、大魔鯨と恐れられる巨大鯨、大魔鯨に片足を奪われ復讐を誓う旅のモリ師などを絡め、人間の尊厳、気高さなどを描いています。

なかなか入手難の本ではありますが、川崎のぼる梶原一騎両先生のファンに方には一読をお勧めしたい作品です。