見た目で油断しちゃダメ!だってソレ“ひばり書房”だよ!?
まずはこの写真を見てください。
コチラ、ひばり書房という一般的にはマイナーかつ一部の好事家には大絶賛な出版社から発行された“ファミリーブックス”シリーズの一冊『お化けのはなし』という児童書デス♪
そのジャケに描かれている妖怪さん達はファミリーブックスの名が相応しい、どことなくユーモラスで親しみを感じさせるものであり、いかにも親御さんたちが我が子に読み聞かせ、悪い事をすると怖いメに会うのよ!という因果応報の精神を叩き込むにはジャストフィットな感があるのですが、ソレは罠デス♪
だってこの本、中身を開けてみると話の最も残虐と思われるシーンをピックアップ、ジャケとは正反対の妙にリアルなタッチで描かれた挿絵満載の恐怖画集な仕上りなんですもの♪
特に“かさね”や“耳なし芳一”“女首”などの見開きで展開される残酷絵巻などは、ジャケに騙されて買ってしまった可哀想なチビッコ達が、恐怖の余り遠くへ捨てに行くレベルに達しています!
さてさて、どうしてこんな恐ろしい事が起こってしまったかというと、ソレは版元であるひばり書房の販売戦略に根源があります。
この出版社、過去に発行した本のタイトルやカバーのデザインを変更、如何にも新しく発行された書籍のように見せかけるのが常套手段としていました。
なぜなら発行から年数が経過している古い本や再販本は、出版取次(→本の卸問屋)が小部数しか書店へ配本してくれず、また読者も新しい本を好むため常に最新刊と偽って流通させていたのですね(苦笑)。その証拠に奥付はドレもコレも先ず初版になっています(笑)
で、『お化けのはなし』に戻りますが、実は本書、最初に発売された時には『こわい怪談画報』というタイトルで、こんなジャケでした。
ね、コレならジャケと中身がバッチリ一致してるでしょ(笑)
無数にあるひばり書房のジャケ差し替え本の中でも、ここまで中身と沿わない変更は珍しく、多分『こわい怪談画報』のジャケが、チビッコには恐すぎて売れなかったために大鉈を振るったと推測出来るのですが、案外こういうトコロにこそ、ひばり書房という唯一無二な出版社のなりふり構わない商魂が現れていて、ある意味出版の歴史上貴重!とか思ったり思わなかったりする僕なのでした、とさ♪