ソコに辿り着く。
当ブログではあんまりにもマイナー過ぎて、紹介しようとすると用語から成り立ちから全て説明しなければならないのでほとんど取り扱っておりませんが、ボクの蒐集物の中核を為しているのは“貸本マンガ”(注:ボクの使う<貸本マンガ>とコトバいうのは、現在使われているモノとはちょっと異なっておりまして、昭和30年代を中心に全盛を誇った貸本屋のみに流通し、一般の書店では売っていなかったマンガを指しております。)でございます。
なんでそんなモンに執着しているのかと申しますと、無数に発行された貸本マンガ作品中極一部ではありますが、日本特有の土俗的国民性を如実に反映したジメジメドロドロのエログロ図が展開しており、現在になってみるとその余りの下世話さが斬新かつ新鮮だったりする、悪書追放の標的になっちゃうような作品が混入しちゃっているからでありマス♪
で、そんなアナーキーな作品群たちですが、そのルーツを探っていくと街頭紙芝居に辿り着きます。それもこんな
明朗朗らかな良いコの嬢ちゃん僕ちゃん向けのモンではありません。戦前に関西を中心に展開し、子供に悪影響を与えると社会的非難ゴーゴーだった因果応報エログロ紙芝居にです。
そんな紙芝居ですが、戦争のおりその大半が焼けてしまい、今やそれらの作品を垣間見るコトは非常に難しく、その特性から文化としても認め辛かったため、体系資料さえもなかなか編まれるコトはありませんでした。っーかそんなニーズも無かったンでしょうけど(苦笑)。
が!いつの間にやらチャレンジ精神溢れる河出書房新社様が紙芝居の本を出してくれておりました!
鈴木常勝・著『紙芝居がやってきた!』(2007年)です!本書は紙芝居の歴史や当時の時代背景も解説してくれていらっしゃいますが、誤解を恐れずに言うなら一番の見所は収録されている図版の多さ!
ちょっとサイケな衣装の奇抜さがクラクラくる
『怪傑かすみ天平』
殺人犯で猫ゴロシの父へ復讐を誓う
猫娘の復讐譚『赤い雪』
ゲゲゲの鬼太郎の原型となった、数多く存在する『墓場奇太郎』シリーズのひとつで、髪型が
20年前ぐらいのPUNKSちっくな『泣くな!奇太郎』など、思わず全編見たくなっちゃう作品が目白押し!
本書が出るまで、このような図版が豊富な紙芝居資料といえばアサヒグラフ別冊の『戦中戦後紙芝居集成』(1995年)
ぐらい思い浮かばず、こちらが既に入手困難になっていた状況を思うと本書の刊行は快挙!と、個人的にはスタンディングオベーションを送るモノです!
この駄文で紙芝居が気になっちゃた方には、絶版になる前の早めな入手をオススメして、本日は筆を置きたいと存じます。