ハシッコばっかりメにトマル。(仮)

フリーライター、キクタヒロシのブログです。新刊『昭和の怖い漫画 知られざる個性派怪奇マンガの世界』発売中です!

確かに喰ってはいますけど・・・

 チビッコ男子なら誰でも一度は興味を持つジャンルに“妖怪”があります。

 

これはやはり、人間国宝ともいうべき水木しげる大先生のご尽力によるところが大きいでしょう。先生の代表作『ゲゲゲの鬼太郎』は何年かに一度アニメ化されており、その個性豊かなユーモラスかつ人情味に溢れる妖怪さん達は、少年の心をワシ掴みにせずにはおりませぬ。

 

 

しかしながらover40世代とっては、その水木しげる先生と肩を並べるほどの妖怪伝道師が記憶されているはずです。 その師とは佐藤有文・中岡俊哉。昭和40年代から少年雑誌や単行本であらゆるジャンルの不思議世界を紹介していた方々で、昭和という時代に大活躍なされたました。

 

お二人とも亡くなられている事もありますが、現在その知名度が薄れつつあるのは水木先生とは逆方向のベクトルを持っていたからでしょう。彼らの持ち味は“いかにビビらすか”であり、水木先生の描き出す、どこか憎めない妖怪たちとは違い、そのおどろおどろしい、人間に対し情け容赦ない残虐妖怪どもは、当時のチビッコ達を恐怖のドン底に叩き込んでいたんですね。さらに理解の無い方々からは

 

適当に妖怪を創作している!

 

との非難を受けた事もダメージとなったようです。う~ん、つーか妖怪とかって、基本的に誰かの創作なのが100%だと思うんですけどね(苦笑)。 

で、今回はちょうど部屋に転がっていた

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佐藤有文・著『妖怪大図鑑』(秋田書店・刊)について触れたいと思いますが、本書の見所として挙げられるのは、『エコエコアザラク』などで有名な古賀新一が多数妖怪を書き下ろしている点でしょう。

 

 でも、ボク的に一番気になったのは、世界の宗教画や名画の悪魔などに勝手な妖怪名つけて紹介しているトコ(笑)。中でも極めつけはボクのお気に入り、ゴヤの連作“黒い絵”の一作“我が子を喰らうサトゥルヌス”に<ポルトガルの食人鬼ゴールは、5メートルもの巨人だ>ってキャプションつけているトコロ。まあ、確かにタベてますけども(=.=;)。っーかコレ、一応神サマの絵なんですけれども。 

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 初めて見た時は苦笑いするしかなかったんですが、見識者の方々の“適当に妖怪を創作している!”との非難は妥当だったのかもなぁ・・・と思わずにはいられませんでした。とさ♪